なお,廃用性の機能障害(例えば,ギプスによって患部を固定していたために,治癒後に関節に機能障害が生じるもの)については,将来の障害の程度を考慮,軽減して等級の認定を行います。
③ 変形障害
等級 |
認定基準 |
7級9号 |
1上肢に仮関節を残し,著しい運動障害を残すもの |
8級8号 |
1上肢に偽関節を残すもの |
12級8号 |
長管骨に変形を残すもの |
◆偽関節(ぎかんせつ)
一般に,骨折等による骨片間の癒合機転が止まって異常可動を示すものをいいます。
◆偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの
次のいずれかに該当し,常に硬性補装具を必要とする場合をいいます。
A) 上腕骨の骨幹部もしくは骨幹端部(骨幹部等)に不完全な癒合を残すもの
B) 橈骨と尺骨の両方の骨幹部等に不完全な癒合を残すもの
◆偽関節を残すもの
次のいずれかに該当する場合をいいます。
A) 上腕骨の骨幹部等に不完全な癒合を残すもの以外で常に硬性補装具を必要とするもの
B) 橈骨と尺骨の両方の骨幹部等に不完全な癒合を残すもの以外で常に硬性補装具を必要とするもの
C) 橈骨もしくは尺骨のどちらか一方の骨幹部等に不完全な癒合を残すもので,たまに硬性補装具を必要とするもの
◆上肢の長官骨に変形を残すもの
次のいずれかに該当する場合をいいます。
なお,同一の上肢の長官骨に複数の後遺障害を残す時でも,12級8号とします。
A) 次のいずれかに該当する場合で,外部から想像できる程度(15度以上屈曲し不完全に癒合したもの)以上のもの
a 上腕骨に変形を残すもの
b 橈骨と尺骨の両方に変形を残すもの(橈骨もしくは尺骨のどちらか一方の変形でもその程度が著しいものも含む)
B) 上腕骨・橈骨もしくは尺骨の骨端部に癒合不全を残すもの
C) 橈骨もしくは尺骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので,硬性補装具を必要としないもの
D) 上腕骨,橈骨又は尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
E) 骨端部を除く上腕骨の直径が2/3以下か,それぞれの骨端部を除く橈骨もしくは尺骨の直径が1/2以下に減少したもの
F) 上腕骨が50度以上外旋又は内旋変形癒合しているもの
※50度以上回旋変形癒合していることは,次のいずれにも該当する場合をいいます。
a 外旋変形癒合においては肩の関節の内旋が50度を超えて可動できないこと,また,内旋変形癒合においては肩の関節の外旋が10度を超えて可動できないこと
b エックス線写真等により,上腕骨骨幹部の骨折部に回旋変形癒合が明らかに認められること
なお,長官骨の骨折部が良い方向に短縮しないで癒着している場合は,その部位に肥厚がおきていても長官骨の変形として取り扱われません。
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いたむら法律事務所では,適正な後遺障害等級を獲得するために認定のサポートを行っております。
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