後遺障害認定の主体と求め方

 

後遺障害等級認定の主体

後遺障害等級認定は,損害保険料率算出機構(以下「損保料率機構」といいます)がほぼ独占的に行っています。
損保料率機構(略称:NLIRO:Non-Life Insurance Rating Organization of Japan)は,「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき,損害保険における参考純率と基準料率の算出およびそれを会員に提供することなどを行う団体です。なお,JA共済の場合は,JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)が後遺障害等級認定評価を行っています。
自賠責保険の実務では,損害料率機構の損害調査(後遺障害の認定も含まれます)の結果に基づき,各自賠責保険会社が支払額を決定しています。
 
損保料率機構の認定は法的拘束力を持ちません。
したがって,裁判所がこれと異なる評価をすることは当然に可能です。
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しかし,この分野における損害料率機構の持つ情報・ノウハウは無視できないものがあり,民事損害賠償実務も,基本的には損保料率機構で行う後遺障害等級認定の結果を前提に動いています。
 

障害等級認定を求める方法

自賠責後遺障害等級認定を求めるためには,3通りの方法があります。
 

被害者請求

1つ目は,被害者が自賠責保険の直接請求権を行使して損害賠償額の支払を自賠責保険会社に求める方法です。
 
 

加害者請求

2つ目は,加害者(自賠責保険の被保険者)が賠償金の支払をした後に自賠責保険の請求を行う方法です。
ただし,このように自賠責保険金請求を事故当事者である加害者が自ら行う例は多くありません。
 

事前認定

3つ目は,一括対応の任意保険会社が申請する「事前認定」の方法です。
一括対応(一括払い)とは,加害者が加入している任意保険会社が窓口となり,自賠責保険と任意保険の賠償金を一括して被害者に支払う任意保険会社のサービスです。
 
本来,自賠責保険から支払われる金額は任意保険とは別に算出されます。
しかし,自賠責保険と任意保険の支払分(自賠責保険からの支払額を超える部分)を分けて交渉するのは煩雑です。
そこで,任意保険会社が両方の支払分を一括して示談交渉します。そして,示談の合意ができた場合には,まず被害者に示談金全額を支払った上で,後日,自賠責保険会社に自賠責保険からの支払分を回収する制度が広く使われているのです。
 
一括払いが行われると,被害者は自賠責保険と任意保険の両方に請求する手間が省け便利です。
他方,任意保険会社としては,『仮に示談を成立させた場合に自賠責保険からどの限度で回収できるのか(特に後遺障害の等級認定がどうなるのか)』を,示談前に判断する必要があります。
そのような理由で,任意保険会社の申請により,事前(示談の前)に後遺障害等級認定を行う方法が用意されているのです。
 
 

等級認定に不服がある場合

自賠責後遺障害認定は法的な制度ではありません。
しかし,その公的性質を考慮して不服申立制度が用意されています。
 
A) 異議申立制度
まず,損保料率機構内の自律的制度である異議申立制度です。
結論がすぐ出る事案では,損保料率機構の本部,地区本部で判断が行われます。
しかし,最終的には,本部,地区本部に設置された「審査会」で検討・判断されます。
 
B) 紛争処理機構
また,損保料率機構外の組織である(財)自賠責保険・共済紛争処理機構に対して,自賠責後遺障害認定に関する紛争処理の申請を行うこともできます。
ただし,紛争処理機構の目的は,あくまで自賠責保険・共済の決定について,国から認可を受けた紛争処理委員が法律や自賠責の支払基準に照らして,その判断が妥当か否かを適正に審査することにあります。
交渉の妥協点を探るということではありません。それゆえ,任意保険会社(人傷社を含む)の過失割合や積算額に不服があっても,審議の対象にはなりません。
 
また,申請者の出席が求められることもありません。もし不明な点や確認する必要がある場合には,文書等で照会されることになります。
さらに,紛争処理機構の審議結果に納得できなくても,申請者は機構に対して再度の申請(異議申立)を行うことができません。その場合,加害者や自賠責保険会社・共済組合を相手として裁判所に提訴し,解決を図ることになります。
なお,紛争処理申請を行っても時効は中断されません。時効の期限が迫っている場合は,予め自賠責保険会社・共済組合に「時効の中断」の手続きをすることをお勧めします。
 
自賠責後遺障害認定に不満がある場合,訴訟提起前にこのような手続の利用を検討すべきでしょう。
 
 

自賠責保険の等級認定と裁判所の判断

自賠責保険における障害等級認定においては,自賠法16条の3に基づき定められた「支払基準」により原則として労災補償の障害認定基準に準拠すべきとされています。つまり,自賠責保険の支払手続で障害認定基準に従った認定を行うことには,法的な根拠があるのです。
 
民事損害賠償実務においても,通常は,障害認定基準を踏まえた等級評価が行われています。
しかし,自賠責保険の障害等級認定に法的な拘束力はありませんので,当然ながら裁判所の等級判断と異なる場合もあります。

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