しかし,平成22年5月27日の京都地裁の判決は,労災保険における外貌の醜状障害について男女の認定基準を区別する取扱いは差別的であり,このような差別的取扱いは憲法14条1項に違反すると判断しました。
それぞれ以下のとおりになります(平成22年6月10日以降に発生した事故に適用)。
等級 |
認定基準 |
7級12号 |
外貌に著しい醜状を残すもの |
9級16号 |
外貌に相当程度の醜状を残すもの |
12級14号 |
外貌に醜状を残すもの |
14級4号
14級5号
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上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
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◆著しい醜状
原則として,次のいずれかに該当する場合で,人目につく程度以上のものをいいます。
A) 頭部に手のひら大以上の瘢痕,あるいは頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
B) 顔面部に鶏卵大面以上の瘢痕,長さ5cm以上の線状痕,あるいは10円玉大以上の組織陥没
C) 頸部に手のひら大以上の瘢痕がある場合。
※「手のひら大」は指の部分を含みません。
◆相当程度の醜状
原則として,顔面部の長さ5㎝以上の線状痕で,人目につく程度以上のものをいいます。
◆単なる醜状
原則として,次のいずれかに該当する場合で,人目につく程度以上のものをいいます。
A) 頭部に鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
B) 顔面部に10円玉大以上の瘢痕又は長さ3cm以上の線状痕
C) 頸部に鶏卵大面以上の瘢痕
◆眉毛,頭髪等に隠れる部分
外貌の醜状は,他人が見て醜いと思う程度,つまり人目につく程度以上のものでなければならず,瘢痕,線状痕,組織陥没があったとしても,眉毛や頭髪によって隠れてしまう部分については,醜状として取扱われません。
◆顔面神経麻痺の扱い
顔面神経麻痺は神経系統の機能の障害ですが,その結果と して現われる「口のゆがみ」は単なる醜状として,また閉瞼不能は眼瞼の障害として取り扱われます。
◆神経障害との併存
頭蓋骨のてのひら大以上の欠損により,頭部の陥没が認められる場合で,それによる脳の圧迫により神経症状が存在する場合は,外貌の醜状障害に係る等級と神経障害に係る等級のうちいずれか上位の等級により認定されることになります。
◆眼瞼,耳介及び鼻の欠損
眼瞼,耳介及び鼻の欠損障害については,これらの欠損障害について定められている等級と外貌の醜状に係る等級のうち,いずれか上位の等級により認定されることになっています
なお,耳介及び鼻の欠損障害に係る醜状の取扱いは,次によることとされています。
A) 耳介軟骨部の1/2以上を欠損した場合は,「著しい醜状」とし,その一部を欠損した場合は,単なる「醜状」とする。
B) 鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損した場合は,「著しい醜状」 とし,その一部又は鼻翼を欠損した場合は,単なる「醜状」とする。
◆2個以上の瘢痕又は線状痕
相隣接し,又は相まって1個の瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は,それらの面積,長さ等を合算して等級を認定することとされています。
◆火傷治癒後の黒褐色変色又は色素脱失による白斑等
永久的に残ると認められ,かつ,人目につく程度以上のものは,単なる「醜状」として取り扱うこととされています。
◆露出面の醜状障害
上肢又は下肢の「露出面」とは,上肢にあっては,ひじ関節以下(手部を含む。),下肢にあっては,ひざ関節以下(足背部を含む。)をいいます。
「2個以上の瘢痕又は線状痕」及び「火傷治ゆ後の黒褐色,変色又は色素脱失による白斑等」に係る取扱いについては,外貌における場合と同様です。
◆露出面以外の醜状障害
次の基準により相当等級が認定されます。
A) 上腕又は大腿にあっては,ほとんどその全域,胸部又は腹にあっては,それぞれ各部の1/2程度,背部及び臀部にあっては,その全面積の1/4程度をこえるものは,単なる「醜状」として, 14級が認定されることとなっています。
B) 両上腕のほとんど全域,両大腿のほとんど全域,胸部又は腹にあっては,各々その全域,背部及び臀部にあってはその全面積の1/2程度をこえるものは,「著しい醜状」として12級が認定されることとなっています。
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